入院中で母親が居ない1週間。

さて、乳がんの体験談とはちょっと異なりますが、2歳の娘について。

2歳の子供にとっては、まだまだ母親が居ないとダメです。

これまでも仕事の都合上で母親が居ない日はありましたが、今回はおよそ1週間という期間、母親が家にいません。

その間の父親である僕と、とても協力してくれた母親の実家の家族、そしてよく我慢して頑張った子供の奮闘ぶりも書いておこうと思います。

家族は第2の患者、そんな家族の様子です。

入院初日の朝。

お母さんは子供より早く家を出ます。

幸いにも娘はちょうど1年前に入院を経験しており、その時の写真を見せたりしながら、場合によっては2週間の入院で家に居ないことはよくよく説明してあり、子供なりに理解している様子でした。

しかしながら、やっぱり寂しい気持ちやお母さんが居ないのはイヤだと思う気持ちがあるのでしょう。

仕事の時は玄関まで行って

「いってらっしゃい〜」

と見送りをするのですが、この日は朝ごはんを食べるテーブルに座ったまま、

「バイバーイ」

と見送りました。

入院初日の夜。

そして夜はというと、おそらく自分の気持ちを紛らわすタメか、ワガママのオンパレード!

子供なりに心のバランスを取っていたのだと思います。

「お菓子食べたい!」「もっと遊びたい!」「まだ寝ない!」「絵本読んで!」

などなど、考えつくありとあらゆる要求を。

正直参りました…

流石にイライラも出ちゃいましたけど、寝るのもなかなか寝れずにかわいそうでした。

入院2日目。

この日は夕方から手術の説明があるので、保育園に3時半頃に子供のお迎えに行き、病院でおばあちゃんと待ち合わせです。

帰りも遅くなりそうなので、お風呂に入れて病院に行きたいのですが、やっぱり遊び始めちゃうし、

「お見舞いに行けないよ!」

と言うとシュン…とするし、子供心と言うか乙女心が揺らいでいる様子がわかります。

病院に行く時間は決まっているのでテンヤワンヤお風呂も入れて病院に向かいましたが、無事に時間前に到着。

出迎えた母親に嬉しいやら照れ臭いやら、とても嬉しそうにギュっとしていました。

やっぱりお母さんが1番だよね。

手術の説明。

執刀医からの説明の間、僕達の後ろにおばあちゃんと座り、お菓子を食べて、話す時も小声で話し、おとなしく座っていてくれました。

お母さんが居ない間はお菓子もいつもより与えて、ちょっと甘やかす事になるでしょうね。

でも良い子に座っていられて偉かったと思いますよ。

そしてちょっと大変な病気であることを、少し理解した様子でした。

退院まで3日、乳がん手術の翌日。

手術後は、手術による傷口に問題が無ければ3日後に退院できます。

昨日の夕方に来た看護師さんは

「手術自体は日帰りでも可能な手術ですよ。」

なんて言っていましたが、昨日の術後は麻酔も抜けず、疲労もあるのか夕方まで寝ていましたし、体を切っているので多少の熱も出ました。

日帰り手術?それは無いですね。

術後に熱がでるのも、高熱でなければ正常な体の反応です。

翌日には普通の人間に。

それから手術当日には、尿道におしっこを排出するための管のカテーテルも通っていますし、点滴もしています。

水も食事も口にできません。

ですが手術翌日の夕方にお見舞いに行くと、管も点滴も外れていますし、水に関しては朝から、食事はこの夕飯から食べられるということで、入院中ではありますが、病院内で自由の身。

前日の寝っぱなしとは打って変わって、ほぼ普通の人間になっていました。

「遊びに行こうぜ〜」

と、病院内のコンビニでアイスを買って2人で食べ、この後は放射線治療などの治療も待っていますがホッと一息です。

麻酔が効いていて痛みも無し。

脇の下から乳房にかけては、ブロック麻酔という麻酔の効果がまだ残っていて、触っても感覚が無い状態のようです。

痛みも無くていたって元気!

手術の翌日は傷口が痛んでしんどい状況かと思っていましたが、それも無いし、前日に乳がんの手術をした人には見えませんが、乳がんの手術をしたのは間違いないです。

これで無罪放免!という訳にはいかず、1ヶ月〜2ヶ月後には、5週間に渡る放射線治療。

そして場合によっては抗がん剤治療も必要になります。

ですが、とにかく今は手術の無事終了にホッとして、明後日の退院を楽しみにできる状況です。

5/25 乳がん手術の当日。

入院して3日目、朝の8時半から手術が始まります。

予定通りであれば、2〜3時間程度の手術で済むそうです。

小さな乳がんなので、手術自体は簡単な手術なんですが、がんの場合は摘出する腫瘍の周りやリンパ節にもがんが無いのか?の検査も同時に行われる慎重な手術になりますね。

左乳房を少し切っての手術と、脇の下の腋窩リンパ節も取って調べる手術が同時に行われます。

乳がんの摘出手術。

8時半からの手術なので付き添いの僕は8時までに来てください。という事で、7時半頃に病院に。

朝の5時から採血があったようですが、まだ着替えたりもしていなく、準備前の落ち着いた雰囲気。

昨日の子供の様子や、入院生活の様子などの話しをします。

前日に退院した人から

「手術室はコストコみたいでワクワクしますよ。」

と聞いたそうです。コストコ?全然想像がつきませんね。

そうこうしているうちに

「そろそろ着替えて準備して下さいね。」

ということで、手術着に着替え、手術用のキツいストッキングを履きました。

それから手術室に移動。付いていけるのはエレベーターホールまでです。

どんな手術にもリスクはあります。少し緊張しながらも、明るく見送りました。

乳がんの摘出手術終了。

ホントに2時間ほどで手術は終わりました。

朝食を食べて嫁さんが色々とサインしていた書類に目を通して、少しウトウトとした頃に呼ばれました。

「終わったので先生から説明があります。」

と。時間も予定通りなので、手術も無事に終わったことでしょう。

先生からの説明は、前日の説明通りに終わり、がんの周りの組織、そして脇のリンパ節にもがんは無し!

リンパ節の方は生検にも出して、確実な結果は後日になりますが、とにかく現時点では最初に見つかったがん以外に異常ナシ。

切除した物も見せてもらいましたが、切除した部分は直径にして5センチほどでした。

その中にがん細胞があったそうですが、見た感じではわかりませんでした。

術後の処置もあり、実際に病室に戻って顔を合わせたのはそれから1時間後でしたが、とにかくキッチリとがんを取ってくれた先生に感謝です。

戻ってきた嫁さんは麻酔が抜けないのか、

「とにかく眠い。」

ということで、そこから更に3時間以上寝ていました。

5/23 乳がんの手術の為に入院。前日に手術についての説明。

いよいよ乳がんの手術の為の入院です。

入院は手術の2日前から。

がんの告知からしばらくは、喧嘩してしまったり揉める事もありましたが、(精神的に乱れるのもがんという病気の怖さです。)その後は落ち着き、全くそれまで通りの生活でした。

自覚症状もありませんし、本当に普通の生活です。

なので入院直前まで、気持ち的にも全く何の不安もありませんでした。

ですが直前になると

「こんなに普通で良いのかな?」

なんて別の不安が出てきつつ、入院を迎えました。

入院に当たって必要な物は普通の入院と特に変わりありません。

5/23 入院当日。

入院は朝の8時半〜10時までに行くということで、患者本人である嫁さんが1人で行きました。僕は子供を保育園に預けてから病院に。

嫁さんは1人で平気で行きましたが、嫁さんの話しだと1人で入院する人は珍しかったそうです。

様々な手続きや書類のサインなど、僕が病院に到着するまでの間は慌ただしかったようですが、入院手続きは1人で済ませていました。

手続きも多く、1人での入院は大変ですね。

談話室で少し話し、今度は子供のお迎えの為に帰りました。

嫁さんは明日の夕方から手術の翌日の夕方までは食事を摂れないので、食料を買い込んで備えていました。

5/24 手術の前日、医師から手術の説明。

手術の前日の夕方に、執刀する医師から手術についての説明がありました。

この日は逆に保育園のお迎えを早めに行き、子供を連れて病院に。

嫁さんのお母さんも手伝いに病院に来てくれました。

少し前までは、がんは本人や家族に告知するかしないか?という事もよく言われていましたが、今は手術のリスク、合併症を含め、症状や手術の内容を全て説明しなければならないようですね。

執刀する医師からの説明はとても丁寧でわかりやすいものでした。

  • 乳がんは初期で、大きさも2センチ以下で転移も無いのでステージ1。
  • 温存手術で、脇の腋窩リンパ節も1つだけ取る予定であること。(見張りリンパ節)
  • その場で検査して、場合によっては大きく切除する可能性があることなど手術の方針。
  • 術後の5年生存率、10年生存率。
  • 合併症のリスク。

どんな手術でもリスクは0ではありません。

あらゆる可能性について、とてもわかりやすく丁寧な説明に、なんとなく心もスッキリ。

やはり手術は緊張するものですが、安心して手術に臨める説明でした。

そして明日の手術は朝の8時半から。

僕は嫁さんの実家に子供を預けて8時までに向かいます。

この日は子供を嫁さんの実家に預けるために、嫁さんのお母さんとともに実家へ。

何かを感じているであろう2歳の娘も疲れたのか、帰りの電車で普段よりも1時間以上早く寝て、そのまま朝までグッスリでした。

3/26 PET-CT検査の結果と手術日の決定。

PET-CT検査は、PET検査とCT検査が同時に受けられる検査。

ウィーンと輪っかの機械の中を通過して、体の中の病変の位置、性質、形を画像として見る事ができます。

同じ姿勢で両方の検査を受けて画像を合わせる事で、一つずつ受けるよりも正確な診断が可能です。

それとともに、手術後の放射線治療の時にも参考になり、放射線を当てる位置も正確に決める事ができるようです。

転移は?PET-CT検査の結果。

この日の外来では、そんなPET-CT検査の結果が出ました。

全身のがんを調べる検査ですので、転移があったり乳がんとは別のがんがあれば、初期のがんまで見つかる可能性が高いです。

とはいえ、無い方が嬉しいですね。

この日は僕は仕事だったので、職場で嫁さんからのメールが来るのを待っていました。

結果は…

転移無し!

現在見つかっている初期の小さながん以外に、がんは見つか利ませんでした!

これは大きな一歩です。

このまま予定通り、乳がんの摘出手術を進められまし、まだ転移も始まっていないという事。

心配事も大幅に少なくなりました。

乳がんの手術日の決定。

今後の治療方針としましては、このままホルモン剤による抗がん剤治療を手術まで、そしてその後5年間続けます。

これは微細な転移の可能性を根絶するため。

体には乳がん以外に特に病気や注意しなければいけない点なども無いので、手術の日程を決めます。

・がん細胞を調べた結果でも、進行は遅いタイプのがんであること。

・転移もしにくく、脇のリンパ節への転移も無い事などから、早急な手術も必要ではない。

ということで、仕事、私生活を落ち着かせ、こちらの準備が整ってからの、2ヶ月後、5月の下旬に手術することにしました。

先生としては、

「だから大丈夫だって言ったじゃない。」

という今回のPET検査の結果ですが、運命を左右すると言っても良い、転移無し!の結果が出るまで、僕達はドキドキでした。

万が一の場合にも備えて話し合いもしました。

そういう怖さ、万が一が起こらないとは限らない、そして不安感を伴うのが、がんという病気なんですね。

精神的なダメージから完全に解放された訳ではありませんが、これで、かなり落ち着いた気持ちで手術までの日々を、生活できそうです。

がんと笑顔。

人間にとって、免疫力を上げる1番の方法は「笑顔」笑うことです。

“がん患者にも笑顔を”。

がんについて、社会全体が理解を深め、がん患者が笑顔で生活できるように。

という運動も盛んに行われています。確かに素晴らしい運動だと思います。

ですが、実際にはがん患者とその家族にとって、笑顔で生活することは簡単なことではありません。

逆にとんでもない言葉を言ってしまったり、それまでの絆はなんだったのか?という大喧嘩、離婚に至ってしまうケースもあるそうです。

これから家族で力を合わせなければいけないという時に、怖いことですね。

そんな怖さも持っているのが、がんという病気です。

日本人の2人に1人がなる病気のがん。

そんな事態にならない為にも、がんに対する知識を身につけておくことが、がんに備えるという事かもしれませんね。

笑うことで体の中のナチュラルキラー細胞が活性化して、がん細胞を退治してくれます。

いつか?万が一?自分や家族ががんになってしまった時に、笑顔の時間を増やせるように、備えておいた方が良いかもしれません。